脳脊髄腫瘍科Department of Neurooncology

Neurosurgical Department 01

診療内容Services

1  脳と脊髄の腫瘍の治療に専念し、最先端の治療を取り入れると共に、手術や術後治療の神髄を究め、どこよりも専門的な脳腫瘍治療を行っております。

例えば代表的な悪性脳腫瘍である神経膠腫(グリオーマ)を例に取りますと、

  • 手術ではナビゲーション、術中生理的モニタリング、術中蛍光診断、覚醒下手術などを駆使して手術を行っています。
  • 特に神経膠腫は世界保健機構による標準的な分類においても遺伝子情報が組み込まれるようになりました。私たちは自前の実験室を有し、病理学検査室や国立がん研究センターなどと共同で詳細な遺伝子解析を行い、治療方針を決める一助としています。
  • 悪性脳腫瘍では手術後の治療が大きなウェイトを占めます。世界標準の治療を行うことは当然ですが、加えて先進的な臨床研究・臨床試験・治験に参加して新しい治療法を積極的に取り入れています。

2 他科との連携

例えば小児脳腫瘍の治療は近年めざましく進歩していますが、これは手術技術の進歩などとともに、化学療法や放射線療法の進歩によるところが大です。脳脊髄腫瘍科では小児腫瘍科と協力して、末梢血幹細胞輸血を用いた大量化学療法も可能な体制を整えています。同じ病棟に小児腫瘍科がベッドを有し、小児がんの専門家が常駐しています。彼らと同じ病棟で連携しながら小児脳腫瘍の治療に最善を尽くしてあたっています。

3 活発な研究活動

前述のように、特に悪性脳腫瘍はその性質や成り立ち、遺伝子異常などについての知識が重要な分野です。当科では自前の実験室を大学構内に有し、脳腫瘍関連の研究を行っています。臨床検体からの核酸とタンパク質の抽出、定性的あるいは定量的PCR (Polymerase chain reaction)、FISH (Fluorescence in situ hybridization)、DNAシークエンス、ウエスタンブロット法、レーザーマイクロダイセクションなどの分子生物学の基礎的な実験設備を整備し、細胞培養、組織の免疫組織化学染色、試料の蛍光観察も独自に行える環境を有しています。

以上の設備を駆使して、例えば、神経膠腫の診断、予後予測、治療反応性予測に有用な分子マーカー(MGMT遺伝子プロモーターメチル化、IDH1/2遺伝子変異、染色体1p/19q共欠失、TERT遺伝子変異及びメチル化、H3F3A遺伝子変異、BRAF遺伝子変異及び癒合遺伝子検出、RELA癒合遺伝子検出など)は手術後最速で72時間以内に解析が可能であり、神経膠腫患者の術後の適切な後治療への移行が速やかに行える体制が確立しています。国立がん研究センター研究所をはじめ、国内外の研究施設との共同研究も精力的に行っています。

対象疾患

当診療科の対象疾患は次のようになっております。
癌の脳転移その他、全ての脳及び脊髄腫瘍に対応いたします。

神経膠腫 小児の脳腫瘍
(髄芽腫、胚細胞腫瘍、上衣腫など)
脳下垂体腫瘍、頭蓋咽頭腫
髄膜腫、聴神経腫瘍 悪性リンパ腫 脊髄腫瘍

当診療科で扱っている症状

頭痛や吐き気がする めまいや耳鳴りがする 耳が聞こえにくくなった 物が2重に見える
視力が落ちたり、視野が狭くなった 言葉がしゃべりにくい どうもとんちんかんなことを言う ぼけたみたい
手足がしびれたり、力が入りにくくなった 歩けない 失禁する けいれんを起こした
急に意識がなくなった 人間ドックや脳ドックで脳に異常が見つかった 頭痛や吐き気がする 頭痛や吐き気がする

その他、頭部に関することでしたらどんな症状にも対応しています。紹介状をお持ちの方はもちろん、脳腫瘍が心配でしたらいつでも受診してください。